本日二回目のエントリはロジバンについて。ここを読む方はロジバンについてある程度の知識を有していると仮定して進めさせてもらう。
ロジバンにも時制がある。それどころか空制(時間制に相対する概念としての空間制)もある。時制について解説したい。ちなみにこれら時制と空制は合わせて間制と呼ばれている。空制はまた後回しに。
ロジバンでは間制はまったくもって任意である。英語などでは必須とされている時制であるが、ロジバンでは表現しないことによって無時間無空間ないしは任意時間任意空間での出来事として綴ることができる。
一つ例文を挙げよう。
{.i mi prami do}
これは「話し手は聴き手を愛している」意訳して「私はあなたを愛している」となる。
この文はどのような時間空間であっても成り立つと解釈される。
そこで、ここに時制を添加しよう。
{pu}は過去{ca}は現在{ba}は未来を表す時制詞だ。
これらを{prami}に先行する形でくっつけると以下のようになる。
間制詞は通常、第1項の後ろかつ述語の前にくっつくのがデフォルトである。
{.i mi pu prami do}
意味は「私はあなたを愛していた」というようなものになる。
間制詞の通常の位置は先程解説したが、これは後ろに終端詞{ku}をくっつけることで文の何処へでも挿入できる付辞とすることができる。
{.i puku mi prami do}
{.i mi prami puku do}
{.i mi prami do puku}
これらはいずれもいつでも正しい。
時制は複合させることができる。
{capu}{puca}{baca}などはすべて複合時制である。
ここにさらに新しい単語である距離詞と範囲詞を導入しよう。
{zi}は時間的短距離{za}は時間的中距離{zu}は時間的長距離
{ze’i}は時間的小範囲{ze’a}は時間的中範囲{ze’u}は時間的大範囲
を、それぞれ意味する時間制詞である。
これらが導入されることによってより一層表現が豊かになる。
{pu}{ca}{ba}らが「方向指定の時間制詞」であると解釈するならば、語順は「方向→範囲」と言ったふうに並べるとよい。
{.i mi pu ze’i prami do}
「私は「過去」「小時間範囲」あなたを愛する」
意訳して「少しの間私はあなたを愛していた」となる。
さらに追加して「方向→範囲→方向」と指定することでその現象の時間的中心を明言することができる。
{.i mi ca ze’i pu prami do}
「私は「現在」「小時間範囲」「過去」あなたを愛する」
意訳して「私はあなたを愛していたところだ」となる。
解釈の仕方としては「先行する方向制詞が開始点を指定しており、範囲指定ののち、次の方向制詞がどの範囲かの方向を指定する」という具合である。
ここで勘違いしやすい{pu ze’i ca}と{ca ze’i pu}の違いを述べておこう。
前者では開始点が過去で、範囲指定ののち現在へと方向が指定されている。
だから解釈としては「過去からその時点(その時点にとって現在)への小範囲」となる。
対して後者は開始点が現在で、範囲指定ののち過去へと方向が指定されている。
だから解釈としては「現在から過去への小範囲」となる。
さらに後者を時系列順に解釈すると「過去から現在への小範囲」となる。